法雲寺住職が皆さんに伝えたい事、日常に感じた事について書き記して参ります。
毎月の更新を予定しておりますので、是非更新をお楽しみにお待ちください。
平成30年3月30日
本当に早いもので、あっという間に春のお彼岸も過ぎ、一年の1/4が過ぎようとしています。
彼岸中には季節外れの寒波で、関東では積雪、32年ぶりの大雪でした。
32年前の私・・・大学4年間を東京で過ごし時期的に卒業間近だった為、既に東京での住まいを引払い実家で過ごしていましたが、大学の卒業式の為に新幹線で東京に向かっていました。
東京に近づくにつれ車窓からの風景は季節外れの雪景色、新幹線はのろのろ運転。
結果、1時間45分遅れで東京駅着。
2時間遅れると特急料金払い戻しという事実を知り「あと15分だったのに」と、変なところで悔しい思いをした記憶が残っています。
少し前の出来事のように感じていましたが、32年も前の事だったんだと、思わぬところで時の経過を痛感させられました。
「山門額」
山門に掲げられていた当寺の山号が彫られている額が、昨年秋の台風による強風で落下、枠が破損してしまいました。
しばらくは手付かずの状態でしたが、先月修理に出し、お彼岸の前日に修復が間に合いました。
気づく方もあまりいないとは思いますが、個人的にはホッとしています。
この山号の額がいつ頃造られたのかはわかりませんが、年月を感じさせるような(寺自体の歴史はそれほど古くありませんが)趣があり、それを残したままで修復してくださった業者さんに感謝です。
「形あるものは必ず壊れる」とはいうものの、なるべくならば、特に大切に感じているものは壊れてほしくないと思うのが人情です。
「諸行無常」・・・この現実世界のあらゆる事物は絶えず変化し続け決して永遠のものではないということ・・・人の一生もそうですが、諸行無常であるが故、より一層一日一日を大切にしていきたいものです。
お彼岸には「春彼岸」と「秋彼岸」があり、春と秋の年2回行われる、前後7日間に渡る修行の期間を指しています。 先祖を敬い、慈しみ、より充実した精神生活を送るために佛法を聞き、行い見つめなおし正す日でもあります。
茶道にて興味深い禅話として紹介されることのある「賓主歴然」(ひんじゅれきねん)という言葉。
こちらも元々は臨済宗妙心寺派の開祖である臨済義玄禅師の語録である「臨済録」の中で生まれたものです。
こちらで言う「賓」とは客人の事で、「主」とは主人・もてなす側だとされており、もてなす側ともてなされる側、その区別は歴然ではっきりとしています。
この様にお互いの関係がはっきりとしている以上、客人と主人の分別を守り接することも大事ですが、禅の修行に置いてはいついかなる時も立場が入れ替わる事も起こりうると考え、それを踏まえて自分の立場だけではなく、相手の立場に立ち接することで初めて理想的な賓主の関係が築くことが出来るという考え方です。